小説『小さいおうち』衝動買い!~感想
先日テレビで放送していた映画『小さいおうち』。何気に見たらとても心に残りました。観た後、ちょっとばかりの疑問点もあり、気づけばamazonで小説を買っていましたw
※ネタバレ?っぽくなる場合もあるのでご了承ください
映画『小さいおうち』の疑問点
映画を観たときに、晩年のタキさんの家に板倉さんの描いたものと思われる絵がありました。タキさんは、いつこれを手に入れたのだろう?と素朴な疑問を感じました。原作を読めば何かわかるのかなと思いすぐに読みました。
しかし、映画は原作とは設定が変わっていて、小説を読んでも残念ながら絵のなぞはわかりませんでした。小説では、絵ではなくて写真でした。
小説『小さいおうち』感想
映画と原作とでは、内容や設定が微妙に違うのはよくあることです。小さいおうちでも内容に違いがいくつか見られました。
タキさんの手記と健史の現在の内容の食い違い
小説のなかでも、最後の緊張する場面のあと、奥様の手紙を板倉さんに渡しにいくわけですが、その後二人が最後の別れをしたような場面が手記にはあります。
ただ、健史が語る現在において、真実はそうではなかったっぽいことがわかる・・。二人は最後に会ったのか会わなかったのか?なぞが残ります。
けっきょく手記はタキさんの主観で書かれたものでしかないのだから、私は願望が書かれたのだと思います。実際は会うことはなかった。だからこそタキは晩年泣き崩れ後悔したのかなと、私は思いました。
タキさんの時子への思い
田舎から出てきた13歳の娘には、キレイで洗練されたお嬢様の時子さんが本当に憧れで大好きだったのだと思います。性別を超えた強いつながりが二人にはあった。
小説の手記のなかでは美しくて性格も明るく、しゃきっとしていて、非の打ち所がない印象の時子(タキ目線なのだから当然か)ですが、もう老人になった1人息子は、意外にも母親である時子をクールに見ていた発言が印象的でした。
人は結局自分の見たいように、世界やまわりの人を解釈しているのだと思いました。戦時中という過酷な世界の中でも、同じなのだなと思います。意図的な情報しか庶民に流れなかったこともあるのかな。
女性目線での戦前の様子
それにしても、小説のなかで女性目線での視点で描かれている戦前の東京は、私が思っているそれとはまったく違ったのかなと思いました。歴史的事件も蚊帳の外といった感じでのんびりしています
東京はすばらしく華やかで、洋食も充実していて出てくる食べ物がどれも美味しそうでした。そしてタキさんや奥様の家事の素晴らしさ・・脱帽ですw
映画の配役について
映画における板倉さん役の髪型が、どうにもこうにも似合っていなかったと思うのは私だけでしょうかww奥様の美しさがイメージどおり、ばっちり決まっていた松たか子さんが相手だっただけに残念!
映画から入ったわけですが、小説を読むともっと強いイメージのタキさんが良かった気がします。黒木さんも可愛かったですが。個人的には晩年のタキさん役の賠償さんが良かったです^^